不動産

2013.12.30

賃貸借の当事者の変更 その9(賃貸人の交代と差押え)[不動産]

1(1)貸主(甲)と借主(乙)の賃貸借契約とします。
 (2)甲の債権者Aが賃料債権の差押えをしました。

2 甲が乙に賃貸目的物を譲渡した場合、差押えの目的物である
 賃料債権の発生原因である賃貸借契約が終了するため、譲渡後
 の賃料債権が発生しません。
  そのため、Aは乙に対して、賃料債権の取立請求をすることが
 できません。

3 ところで、甲が賃貸目的物を第三者(B)に譲渡した場合、賃料
 債権がBに帰属します。
  そして、Aは乙に対して、賃料債権の取立請求をすることができ
 ます。

4(1) すなわち、差押債権者は、賃借人が賃貸目的物を譲り受け
   ると賃料の取立請求ができませんが、第三者が譲り受けると
   賃料の取立請求ができます。
 (2) そこで、甲・乙が通謀して、賃料債権差押後に賃貸目的物を
   譲渡した場合は、どうなるのか(賃料債権の取立ができないと
   いう結論でよいのか)という問題点が指摘されています。

5 この点、判例は、「賃借人において賃料債権が発生しないことを
 主張することが信義則上許されないなどの特段の事情」がある場
 合には、取立請求を認める余地を残しています。

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