損害賠償金の計算基準には、前記のとおり4つの基準がありますが、慰謝料は、弁護士基準である「赤い本」「青本」と損害保険会社の基準に大きな差がある損害項目です。
①傷害
訴状においては慰謝料を算定する要素として入院日数、実通院日数、入通院の期間、症状を記載します。傷害慰謝料については一定の算定表に基づいて計算しますが、一応以下の要素を組み合わせて計算します。
1.入院か通院かで区別(入院の方が通院の方よりも高額認定)
2.体幹部の骨折など他覚的所見を伴う傷害か、むち打ちなど他覚的所見を伴わない傷害かで区分(同じ治療期間でも前者の方を後者より高額認定)(赤い本では別表Ⅰ、別表Ⅱとしています。)
3.事故による受傷から月日の経過による逓減(例えば、事故から1ヵ月目は50万円・事故から2カ月目は45万円・事故から3カ月目は40万円)
4.自賠責基準は単純に1日あたり4,200円に要治療日数を掛け算するごくシンプルな算定手法を採用しています。
②後遺症
基本的には、後遺症障害の自賠責等級に応じて決まります。保険会社の提示する基準と裁判所の基準には、大きな差があるのが一般です。
裁判所が基準としているといわれる赤い本の28年版の基準は以下のとおりです。
第1級 2,800万円~第14級 110万円
③死亡
傷害から死亡までの損害は上記①の傷害と同様。それに加えて本人分の死亡慰謝料、近親者慰謝料があります。基準は以下の通りです。
一家の支柱 2,800万円、母親・配偶者 2,500万円、その他 2,000~2,500万円
④上記③の基準の枠周辺
年齢、家族関係、生前の生活状況などその他個別具体的な事由により、増減がありえます。