その他

2012.05.12

附帯抗告 (相続・遺言)

1. 遺産分割の審判について、不服申立は即時抗告がされた場合、附滞抗告が可能であるかについて経験はない。

2. 他の弁護士にも尋ねてみたが、経験はないとのことであった。

3. 裁判官の書いた文献には、「抗告審の構造」として以下の記載がある。
[1] 不服申立て自体が不適法である場合には即時抗告を却下

[2] 即時抗告に理由がある場合には、注文上は、審判を取消して、事件を家庭裁判所に差し戻さなければならず(家審規19条1項)、相当と認める場合に限って、審判を取消して、みずから審判に代わる裁判(いわゆる自判)をすることができるものとされている(家審規19条2項)。

[3] 抗告審の裁判において、いわゆる不利益変更禁止の原則(民訴304条参照)の適用ないし準用があるかについては諸説がある。多数説は消極に解する。

[4] しかしながら、抽象的な原則の適用の可否はともかくとして、抗告人に対して原審判よりも不利益な分割をし、その不利益に相当する部分を抗告していない他の相続人に割り当てるということについては多少逡巡があるであろうし、処理の難しいところである。

4. そこでやはり附滞抗告ができるかが重要になってくる。争いがあるようであるが、3.の文献には、「現行法下の最近の実務は、適法なものとし取り扱っている例が多いように思われる」とある。

5. 条文の操作は以下の通りである。
  家事審判法7条 非訟事件手続法第1編の規定を準用
  ↓
  非訟事件手続法25条 抗告について民事訴訟の規定を準用
  ↓
  民事訴訟法331条 抗告について控訴の規定を準用
 
  
  ↓
  民事訴訟法293条 附帯控訴

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