2011.11.04
遺言書の検認
1 遺言書の検認とは、遺言の方式に関する一切の事実を調査して
遺言書の状態を確定し、その現状を明確にするものです。
遺言の有効性について判断するものではありません。
2 検認の請求は、相続開始を知って「遅滞なく」、家庭裁判所に申し
立てをしないといけません。
しかし、現実には、相続人の調査(戸籍の取得)をする必要がある
ので、字義どおり「遅滞なく」申し立てられるというわけにはいきま
せん。
3 遺言書の検認の期日は、相続人全員に連絡がされますので、他の
相続人に知られることなく検認の手続をすることはできません。
4 公正証書の遺言は、検認の規定の適用がありません。
従って、他の相続人が知らないうちに、相続や遺贈の登記をするこ
とが可能です。
5 家庭裁判所の検認が終わると、家庭裁判所により、遺言書に「検認
済み」の表示がされます。
6 相続人の中で、遺言書が自筆か否か、本人の意思に基づくものか
否かを争う予定がある者がいる場合、その相続人は、検認期日に
この点を意識した意見陳述をしておかないと、後に遺言無効の裁判
をした場合に、不利な証拠として検認調書(検認の家庭裁判所が作
成する調書)が提出されることがあります。
7 検認のない自筆証書遺言は、相続登記としては却下されてしまいま
すので、登記のために検認は必要で、遺言書に、裁判所の「検認済
み」の文言が必要となります。