2011.06.02
生命保険と相続
1 生命保険の契約あるいは約款で、特定の相続人が受取人に
指定されている場合
受取人指定の生命保険の場合、受取人は相続によって保険金
を受けとるのではなく、第三者のためにする保険契約により、
固有の権利として保険金を取得します。
したがって、相続放棄をしても保険金を受け取る権利が消滅し
ないことになります。
つまり、この場合、生命保険金は相続財産でないことになります。
2 そうすると、遺産分割において相続人が受領した生命保険金は、
民法上相続財産ではないので特別受益にはならないかというと、
必ずしもそうではありません。
判例は、
① 死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金
は、原則として特別受益にあたらない
② もっとも、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人
との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし、 到底
是認することができないほどに著しいものであると評価すべき
特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、死亡
保険金請求権又は死亡保険金は特別受益に準じて持戻しの
対象となる
としています。
3 なお、被相続人の死亡によって取得した生命保険は、相続税の
課税対象となることがあります。
相続税法上は、「みなし相続財産」とされます。