相続・遺言

2011.05.27

寄与分(相続)

1 寄与分とは、共同相続人に、被相続人の財産の維持又は
  増加について “特別に” 寄与をした者があるときに、
  その寄与に相当する額を法定相続分に上乗せすることを
  認める制度です。

2 寄与分が認められるためには、
  ① 寄与行為が存在すること
  ② 寄与行為が「特別の寄与」と評価できること
  ③ 被相続人の財産の維持又は増加があること
  ④ 寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に
     因果関係があると評価できること
  が必要です。

3 寄与行為が「特別の寄与」と評価されることが必要ということ
  は、その行為が、当該身分関係において通常期待される程度
  を超える貢献関係であることが必要です。
  夫婦関係の協力扶助義務、親族間の扶養義務及び相互扶助
  義務の範囲内の行為は、もともと相続分の基礎に組み入れら
  れているから、相続分を修正する要素として扱われないので、
  義務の範囲か否かを検討する必要があります。

4 「特別の寄与」と言えるか否かは、寄与行為の
   a)特別性、 b)無償性、 c)継続性、 d)専従性
  等の点を考慮して判断されることになります。

5 寄与行為が「特別」であるには、当該相続人と被相続人との
  身分関係に照らし、親族間の情誼として通常期待される程度
  を超えた行為であることが必要です。
  したがって、小遣いの給付、通院の際の送迎等は、特別の寄与
  とは評価されないことが多いと思います。
  また、夫婦間の協力扶助義務は、親族間の扶養義務及び相互
  扶助義務よりも程度が高い義務であるから、同一程度の行為で
  あっても、配偶者については寄与分として認められず、子につい
  ては認められる、ということが生じ得ます。

6 寄与行為が大である場合はむしろ、共有なり単独所有の確認
  を求めることも考えてみるべきですが、あえて、財産権(共有)
  を構成せずに、寄与分の中で解決することも可能です。

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