相続・遺言

2011.05.24

遺産分割の前提問題

1 財産が被相続人の遺産であるかどうかについて争いがある
  場合は、家庭裁判所ではなく、地方裁判所の民事訴訟による
  判決の確定を待つことが多いです。
  民事訴訟手続の間、家庭裁判所での遺産分割の調停は、
  手続が実質上進行しないことになります。

2 不動産について、名義人が3~4代前の人の名義のままで
  あった場合、例えば、父、祖父、曽祖父の相続が発生する
  ことになります。
  このようなケースでは、遺産分割が未了であると、相続登記
  について、数十人に及ぶ関係者の実印・印鑑証明書が必要
  になってくる可能性があります。

3 この場合、遺産分割が成立していないという前提で、相談に
  来られる方が多いですが、果たして、遺産分割の問題なのか、
  それとも、既に所有権は誰かに確定していて、遺産分割ではな
  く単に登記義務の未履行が残っているだけなのかを検討する
  必要があります。

4 遺産分割の問題であれば、分割方法の話し合いということに
  なり、話し合いができないとなると、家庭裁判所での調停、審判
  手続になります。

5 これに対し、遺産分割が誰かの代で成立していたり、誰かの
  代で時効取得が成立していると、登記義務の未履行ということ
  であり、話し合いではなく、義務の履行を求め、協力が得られ
  なければ、地方裁判所の判決を求めることになります。

entryの検索