2020.04.22
弁護修習感想文
1 私は、3月2日から4月22日まで北薗法律事務所で弁護修習をしていた者です。
この2カ月弱の修習で経験させていただいたことや、感じたことについて書かせていただきたいと思います。
2 まず、今回の弁護修習では、膨大な数の起案をさせていただきました(A41枚で終わるようなものも合わせれば34通)。当然、実務家の先生方からすればこの程度何てことない件数だと思いますが、初めて弁護士業務を体験する若輩者の司法修習生にとっては、思い出に残るほどに鮮烈な体験でした。
具体的に取り組んだ起案の一部を紹介すると、建物明渡請求訴状、民事清算人選任申立書面、財団債権確定訴訟の訴状起案、相続財産管理人の意見書などの裁判所との関係で作成する書面だけではなく、特別受益者の範囲に関するレポート、昨今の新型感染症と賃料支払義務に関するレポートなど理論的な面に焦点を当てたレポートにも取り組みました。
3 これらの起案の中でも一番印象に残っているのは、弁護修習初日にいただいた否認権行使に関する訴え変更申立書面の起案です。
破産者の弁済行為について、偏波行為として否認できるかという事案で、不当利得や質権の理解との関係で弁済行為の法的性質が何通りも想定できるため、追加すべき請求原因がいくつもあるというものでした。
私は、お恥ずかしながら破産法について勉強したことがなかったので、破産法の教科書を傍らに置きながら、自分の知っている民法の知識をフル活用していくつものパターンの請求原因を作成しました。
北薗先生からは、請求相互の関係性が不明確であるとの指摘を受けました。
どの請求とどの請求を選択的にし、予備的にするかといった点は、訴えの変更の際には最重要事項であるにもかかわらず、そこまで綿密に検討することができなかったことは反省点であり、自分の実体法の理解が完全ではなかった結果、ごまかすような起案になってしまいました。
このように、様々な起案をし、北薗先生から修正点・改善点を教えていただき、次の起案に挑戦していくという毎日でした。
4 これらの経験を通じて、私は、自分の知らない領域について完成度の高い仕事をすることができるかが弁護士にとって非常に重要な能力であると感じました。
確かに、全ての論点を知り、全ての必要書面を把握することができれば、それが一番だと思います。しかし、現実問題としてそれは非常に困難であり、また、新たな紛争の火種や未知の論点は毎日新しく生まれこれからも生まれ続けていくものだと思います。
未知の論点や新しい紛争に直面したとき、自分の今までの知識等を応用し、当たりをつけてリサーチをし、仕事を完成させていく能力こそが、弁護士に必要な能力だと思います。
私は、不勉強の賜物(?)か、この弁護修習中は毎日のように未知の論点や未知の書面に触れる機会がありました。そのたびに、本を読み、自分で調べ、時には(ほとんど毎回だった気もしますが)先生の力を借りて起案を完成させていくという経験をすることができました。
そして、この弁護修習中に多くの未知の知識が既知の知識になりました。
これからも日々勉強し、知識を蓄えていくと同時に、未知の事案を恐れることなく様々な分野で活躍できるような法曹を目指していきたいと思います。
2カ月弱という短い間ではありましたが、北薗先生、池田先生、事務員の皆様方、大変お世話になりました。
そして特に、指導担当弁護士の山本先生には格別の感謝を申し上げたいと思います。