2018.08.01
決済立会いの感想文(修習生による感想文)
1 不動産の任意売却の決済に立ち会わせていただいた。任意売却に関する事前知識としては、「住宅ローンの支払いが困難となった場合に、強制競売よりもその返済額を高額にすることができる手段」という程度の知識しかなかった。
また、今回の任意売却は、北薗先生が相続財産管理人として行うものであった。司法修習生は、家庭裁判所でも修習を行うが、修習期間が短いこともあり、相続財産管理人については、司法試験レベルの知識しかなかった(なお、恥ずかしながら、司法試験レベルの知識に関しても、徹底した復習が必要だとは感じている)。
以上のような状況であったため、私の決済立会い前の知識レベルは、直前に書籍等を読んで詰め込んだ程度である。
2 決済のおいては、事前にほとんどの準備がなされており、当日は、各種書類の受け渡しが瞬時に行われ、手続きが停滞することはなかった。なお、着金の確認時間に関しては、金融機関によって差異があり、場合によっては長時間待たされることもあるとのことである。
決済当日、不動産仲介業者の方が、様々な準備、手続きを行っていたのが印象的だった。任意売却を主導する中心的な役割を担うのは不動産仲介業者であることが多い。
3 任意売却には、様々な条件が付加される。例えば、農地転用する場合には、その許可が必要となる(農地法5条)。その場合、売買契約書には、その停止条件として、家庭裁判所の許可(相続財産管理人の権限外行為であるため)、担保権者等の協力(任意売却との関係)と並んで農地法5条の許可が記載されるとのことである。誰が農業委員会に許可申請をするのか等、更なる理解に努めたい。
なお、農地転用に関しては、登記の地目変更が必要であり、任意売却の決済では、地目変更まではできないとのことである。決済後には、司法書士によって各種登記申請の手続きが行われるため、地目変更も含めて行われるのかと思っていたが、そもそも地目は土地の現況が変わらなければ変更できず、その変更も土地家屋調査士によって行われる。
4 今回は、北薗先生をはじめとする任意売却の当事者の方のご厚意により、決済に立ち会わせていただいた。大変勉強になったと感じる一方で、自分の勉強不足も痛感した。今回の経験を、今後の修習に活かしていきたい。