弁護士北薗のBlog

2017.09.04

弁護士費用(後見事件等)

1 後見事件や破産管財事件で、被後見人や破産者本人が交通事故により被った損害の賠償請求を、後見人や破産管財人として行うことがあります。

そのような案件において、弁護士費用に関連して、以下のような問題があります。

2 後見事件の場合、後見人選任前に、被後見人の代理人弁護士によって既に交通事故による損害賠償請求がなされていることもあります。その場合、被後見人の代理人弁護士の「弁護士費用」が、被後見人にとって「損害」となるのではないかという問題がおきます。

3 弁護士である後見人や破産管財人が交通事故の損害賠償請求を行う場合、後見人や破産管財人の「弁護士費用」が被後見人にとっての「損害」にはならないとしても、自動車保険の「弁護士費用特約」(弁護士費用等の支払の為の保険特約)の支払対象となるのか、ということも問題となります。

4 破産者本人が相続人となる被相続人(破産者本人の親等)が交通事故により死亡した場合、破産管財人として、損害賠償請求(破産財団)をする場合、取得した損害賠償額金によって破産債権者に対する債務の全額が返済可能(100%配当)となる場合もあります。

その際、破産者本人を含めた相続人全員が「限定承認」(被相続人の債務額が不明で、財産が残る可能性がある場合に、相続によって取得する財産の範囲で被相続人の債務を受け継ぐこと。)をしていたら、被相続人の債務額を超える損害賠償金請求権が破産管財人に帰属するのか否か、損害賠償請求につき訴訟追行が可能か、ということも問題となります。

5 また、破産者本人が被相続人の交通事故による損害賠償を取得する場合には、被相続人の債権者から相続人(破産者本人)の固有の財産と相続財産との混合を避けるために「財産分離」を前提とした処理がされることがあります。そのため、交通事故の損害のうち、①慰謝料、②逸失利益を、相続構成として被相続人の財産(相続財産)とするか、相続によって取得した相続人の固有財産として請求するか、被相続人に対する相続人の「扶養権侵害」として請求するか、について悩むことになります。

6 最近、後見事件において後見人として、被後見人の代理人の弁護士費用の「相当性」を問題とすべきかにつき、裁判所に対する「指示伺」を続けて出しました。

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