2017.05.03
収益物件
1 私が破産管財人として管理している収益物件について、抵当権設定者より、物上代位による賃料差押えがされることが判明しました。そこで、固定資産税を破産財団に負担させないために、賃料債権の発生している収益物件について、賃料債権の財団放棄をしました。
2 物上代位による賃料差押えがなされた場合の執行手続は、差押え債権者が賃料を回収するのみですので、当然、賃料から当該収益物件の固定資産税の支払がなされることはありません。
そのため、収益物件の所有者は、固定資産税その他の維持費を賃料以外から捻出しなければならず、当該物件を維持管理する意欲を喪失してしまい、当該物件の管理状況が悪化してしまうことがあります。
3 管理状況の悪化は、空室の増加を招きかねません。管理状況の悪化や空室の増加により、結局は抵当権者の債権回収が困難になるおそれがあります。
4 このようなおそれを避けるため、抵当権者は、対策として、収益執行の申立をすることもあります。
収益執行の場合、執行手続きの中で、(債権者への配当の前に)固定資産税の支払も行われることになります。
5 また、収益執行の場合、収益物件の管理権限や賃借する権限を、裁判所より選任される収益執行管理人が有することになるため、管理状況の悪化を防止することができます。
6 収益執行の申立は、物上代位をした物件に対して、重複して行うことも可能です。