2018.08.30
修習生への課題(「出張」修習第2弾)
1 今週、新たな修習生が当事務所に「出張」弁護修習に来ています。
2 今回出した課題は、不在者財産管理人の案件の検討です。①失踪宣告申立を要する事案と、②管理財産に不動産がある事案の記録をもとに、事案の見通しの検討を求めました。
3 検討の講評において、
(1)不在者財産管理人の選任申立がどのような場合になされるのかについて
①遺産分割の当事者が行方不明の場合
②買収しようとした土地の所有者が行方不明の場合
を例示しました。
(2)不在者財産管理人の管理財産中の不動産を売却する際の流れについて
①裁判所の許可
②登記手続
をそれぞれ説明しました。
特に、登記手続において準備すべき書類に関しては、通常の売買における登記手続との相違や、必要書類の入手方法を指摘しました。この知見の有無が手続のスムーズさに関わります。
(3)失踪宣告(普通失踪)の要件については、失踪期間満了時(最後の生存確認時から7年経過時点)について、いかなる事実を摘示するかにつき説明を求めました(相続発生日により、相続人の変動可能性がある重要な検討事項です。)。
本件は、調査官調査と申立人と調査官の面接とで、最後の生存確認時が変動した事案でした。
(4)不在者であることの認定と、普通失踪の要件の認定とでは、調査の対象が異なるかという点(家庭裁判所がどのような調査をしているか)についても説明しました。
4 上記3(1)(2)は、出題時にもヒントを与えていました。(3)は記録から読み取れる事項でした。(4)は不在者の調査と失踪宣告者の調査の重複につき思いが及んで欲しいところでした。
5 修習生に感想文(今回の検討で得た知見について)を作成してもらいました。本人の了解を得て当ブログに掲載していますので、よろしければご覧ください。