2017.02.14
賃貸借契約の終了(明渡請求)
1 賃貸借契約に関する相談の中では、「明渡し」についての相談件数が多いです。
2 明渡しの事案においては、明渡しを求める理由が、賃借人の債務不履行(多くは賃料不払い。その他無断転貸や無断譲渡など。)の場合であるか、それ以外の場合であるかを、分けて考えることが必要です。
3 賃料不払いや、賃借人の地位の無断譲渡や無断転貸等の債務不履行の場合、賃料不払い等の期間などの条件はあるものの、それらを理由とする賃貸借契約の解除及び明渡しの請求は、比較的容易に認められる場合が多いです。
4 しかし、①建物所有を目的とする借地契約や、②借家の場合、貸主の都合による賃貸借契約の解除や土地・建物の明渡しを求めることは、非常に難しいです。
5 「定期借地権」や「定期借家権」は、一定の契約期間終了時に更新をしないことを定めることができます。一方、定期借地権や定期借家権ではない普通賃貸借契約の場合、契約書に賃貸借の期間を定めていても、更新されることが原則であり、更新拒絶には「正当事由」が必要です。
6 そして、通常、借地上の建物や借家が賃借人の生活や営業の拠点であることが多いため、賃貸人の明渡請求が認められるべき「正当事由」があるかという判断基準(立ち退き料の支払も含めて)は、相当厳しくなっているのです。そのため、賃借人が明渡しに承諾しない限り、明渡しを実現することは、非常に困難となってしまいます。
7 明渡しの実現が困難であることにつきご理解頂いた上で、貸主の都合による明渡請求の依頼を受けることがあります。この場合、依頼者(貸主)から背景事情を広く聴き取り、依頼者の真の希望に近づける解決策実現に向けての話合いを重ねるようにしています。