2011.08.17
被相続人の債務超過
1 被相続人が債務超過であった場合に相続人の方から相談をうけ
ますが、相続人が被相続人の債務を保証している場合があります。
2 そうすると、相談者の関心は、被相続人に資産がある場合、これ
を処分して少しでも多く債権者に弁済を行うこと、即ち、自己の保
証債務を減少すること、にあることになります。
3 そこで、相続人が相続放棄か限定承認のどちらを選択するかを
含めて、相談うけることがあります。
4 限定承認(民922~937)の場合
(1) 破産の場合と比べて不十分な制度である相続放棄(相続人
不存在)に比べても、更に裁判所の監督がない、不十分な部
分があります。
(2) ①相続人が複数ある場合の相続財産の管理人を誰がするか
②管理人の債権者への弁済が適正に行われるか
という問題があります。
(3) 不動産は相続人に譲渡されたものとして、譲渡所得税が発生
することもあり、その分弁済に充てる資産が減少することもある
ので、不動産がある場合、限定承認を選択するときは、注意が
必要と思われます。
5 相続放棄(民938~940、相続人不存在:民951~959、限定承認の
準用:民957②)で対応する場合
(1) 相続人不存在になる場合を予定していることが多い
(2) 相続財産管理人は、裁判所により選任されます。
6 ① 費用対効果
② 限定承認をして、手続を自らが相続財産管理人(あるいは、弁
護士に委任しつつ 自己が主導)として行うか
③ 裁判所の選任した相続財産管理人に委ねるか
等を検討したうえで、手続を選択する必要があると思われます。